人形頭
頭(かしら)のサイズ
文楽人形の頭のサイズは4寸(約12センチ)、阿波木偶(でこ)はおよそ6寸(約18センチ)と、阿波木偶の方が大きいのが特徴。なお、阿波では「頭」の字を当てますが、文楽では「首」と書きます。
 
頭の塗り
文楽人形は照明の乱反射を避けるため艶消し。阿波木偶は小屋掛け、農村舞台など照明が行き届かない場所で人形を映えさせるため光沢をつけました。
 
種類
阿波木偶は文楽人形に比べて種類が少ないのが特徴。文楽では「文七」「源太」など最初に使った役名がついていますが、阿波木偶は「角目」「丸目」など主に形状を基本にした名称で呼びます。阿波木偶は頭の種類を少なくし、1つの頭の鬘(かつら)や飾り物、衣類を変えることで幾通りもの役柄に変化させます。これは移動公演が主体であったためです。
 

男性の代表的な頭。立役方(善人)で主役を演じる時に使います。目尻が卵を真半分に切ったような形をして、両端が尖っています。眉はフキ眉で上下、目は左右に動き、閉じられます。口も開閉し、複雑な表情を出すことができる最も迫力に富んだ頭です。
 

男性頭で敵役(悪人)に使います。どことなく憎らしい表情が漂い、目尻は丸く繭(まゆ)のような形をしています。大丸目(「三十三間堂棟木由来」の和田兵衛など)と小丸目(「義経千本桜」の権太など)の2種類があります。
 

男性の老人の頭。世話物と時代物の2種類があります(世話物=江戸時代の町人社会を題材にしたもの。時代物=江戸時代の武家社会を題材にしたもの)。時代物は武家らしく精悍な相貌をしています。頭髪と眉が白髪やごま塩髪で、顔にはシワが描かれています。
 

三カ所が動く頭という意味。若者の頭ですべて白塗りです。目の形は女性頭に類似しており、人の目に近い形をしています。
 

未婚の美しい娘に使われます。顔は色白で鼻筋が通り、口元は品よく小さく、唇の朱の中から白い歯を覗かせます。カラクリは眠り目だけです(眠り目といいますが、ほとんど泣くときに使用します。)。眉は黒く、切れ長の目にふさわしく優しく描かれています。「絵本太閤記」の発菊、「八百屋お七」のお七など。
 

既婚の中年女性の頭。眉は青く描かれ、顔は白、口元は品よく朱で塗られますが、その奥は御歯黒です。「絵本太閤記」の操、「一谷嫩軍記」の相模など。
 

老女の頭で世話物と時代物の2種類があります。頭髪は白髪かごま塩髪。顔は白色、彫りが深く頬骨が出、シワが描かれています。カラクリ動きは眠り目だけのものが多く見られますが、口が動くものもあります。世話物では「摂州合邦辻」の合邦女房、時代物では「近江源氏先陣館」の微妙など。
 

子供頭にも男女の区別がありますが、ほとんどが同じ形状で造られ、衣装により男女を分けます。あどけない顔立ちで、えくぼがあるのが特徴。「傾城阿波鳴門」のおつるなど。
 

一役頭ともいいます。特定の外題(げだい)にしか登場しない特殊な頭であることから、この名前があります。「大江山酒呑童子話」の酒呑童子、「玉藻前旭袂」の姐己(だっき)など。
 
参考文献/ (財)阿波人形浄瑠璃振興会設立50周年記念誌「国指定重要無形民俗文化
ページのトップへ戻る
Copyright (C) 2007 阿波農村舞台・阿波人形浄瑠璃 ボランティアガイド All Rights Reserved.
阿波農村舞台・阿波人形浄瑠璃 ボランティアガイド
ボランティアガイド
利用案内
 
農村舞台
農村舞台とは
農村舞台マップ
 
阿波人形浄瑠璃
歴史
人形頭
人形師
人形座
太夫・三味線・人形遣い
トップページへ